店頭に新しく仲間入りした「加賀水引」をご紹介します。
水引と聞くと、ご祝儀袋やぽち袋の飾りや
色とりどりの紐を結んでつくる
かわいらしいクラフトを想像する方も多いかもしれません。
私も少し前までは、そうでした。
金沢から届いた「加賀水引」
今回、和モダンN6北円山で新たにお取り扱いするのは
金沢の「津田水引折型」が手がける品々です。
およそ100年前、初代・津田左右吉氏は
それまで平面的に折り重ねていた水引を立体的に結び、
鶴や亀、松竹梅などの造形へと発展させました。
この独自の折型が、
現在へ受け継がれる加賀水引の礎になったといわれています。
実物を前にして感じるのは、
繊細さの中にある凛とした美しさ。
そして、伝統工芸でありながら
今の暮らしによく似合うモダンさです。
「大切に受け継ぐこと」と「今の人が楽しめること」。
その二つが自然につながっているところに、
私はとても惹かれました。
そもそも、水引とは?
水引の歴史は古く、
聖徳太子や小野妹子が活躍した時代にまでさかのぼるといわれています。
中国から日本へ届けられた贈りものに
紅白に染め分けた麻ひもが結ばれていたことが始まりと伝えられています。
やがて日本では、贈りものを紙で包み、水引で結び、
筆で言葉を添える文化が育まれました。
包むこと、結ぶこと、言葉を添えること。
その一つひとつに、相手を思う気持ちが込められています。
水引は、きれいな飾りというだけではありません。
「心を包んで贈る」という
日本らしい心づかいを形にしたものなのだと思います。
いつもの装いに、水引をひとつ
津田水引折型さんのお品でまずご紹介したいのは
ピアスやイヤリング、ブレスレットなどのアクセサリーです。
水引ならではのやわらかな曲線と丁寧に重ねられた結びが、
耳元や手元にほどよい華やかさを添えてくれます。
もちろん和装にもよく似合いますが、
白いシャツやシンプルなワンピースなど
ふだんの服に合わせるのもおすすめです。
とても軽いので、気負わず身に着けられるのもうれしいところ。
私もブレスレットを愛用しています。
店頭でお客さまから
「素敵ですね」と声をかけていただくことがあり、
そのたびに会話が弾みます。
昔から続く手仕事が、今の装いの中では新鮮に映る。
伝統工芸をもっと身近に感じられる、楽しい入口だと思います。



アクセサリーシリーズ「knot(ノット)」の由来は、英語の「結び目(knot)」という意味に加え、日本語の音に重なる否定の「not(ノット)」という逆説的なメッセージを掛け合わせたもの。贈り物などを飾る本来の水引の本質から外れた、身につけるためのアクセサリーであるという矛盾をユーモアと洗練で表現
灯りと音で楽しむ水引
身に着けるもののほかに、
水引のシェードを使ったLEDキャンドルライトも入荷しました。
細やかに結ばれた水引の隙間から、
やわらかな光がこぼれます。
灯りをともすと幻想的で、消しているときは小さなオブジェのよう。
棚やテーブルに置くだけで、空間の表情が少し変わります。
そして、8月のおすすめは、水引と南部鉄器を組み合わせた風鈴です。
美しい水引の飾りに、南部鉄器ならではの澄んだ音色。
異なる土地の工芸が一つになり
目にも耳にも涼やかな佇まいが生まれました。
風が通るたびに響く、ちりん、という音を聞くと、
暑さの残る日にもほんの少し気持ちがほどけるようです。


DIRECTOR'S POINT
贈答の飾りというイメージを越えて、
装いに、インテリアに、季節のしつらえに。
加賀水引は、いろいろな形で私たちの暮らしに寄り添ってくれます。
結びの繊細さや立体感、色の重なり、
手に取ったときの意外な軽やかさは
写真だけではなかなか伝えきれません。
お近くにいらした際は、ぜひ店頭でゆっくりご覧ください。
「これも水引なの?」という小さな驚きを
皆さまとご一緒できたらうれしいです。
